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2021.03.19 (Fri)

【LIVE REPORT】2021.03.18 Welcome Home!

Dannie May Presents “Welcome Home!”
2021.3.18 @ 渋谷TSUTAYA O-nest
オフィシャルライブレポート

Reported by 稲垣 遥 Photo by 斉藤チホ

Dannie Mayの初主催ライヴ[Dannie May Presents “Welcome Home!”]がTSUTAYA O-nestで開催された。2019年3月18日に結成した彼らにとって、この日はバンド結成ちょうど2周年となる記念すべき日だ。

2019年11月に発表した1st EP『暴食』が、TOWER RECORDSの“タワクル”で4週連続1位を獲得し、表題曲のMVが話題を呼び(現在YouTubeで13万回再生を記録)、Dannie Mayにとってさぁこれからというところで訪れたコロナ禍。しかし、彼らは2020年、シングル7作とEP 1枚と、驚異的な速さで強力な音源を制作してきた。結論から言うと、この日のライヴは、その多彩な曲作りに費やした日々が観客の前でまさに実を結んだ一夜だった。

そんな特別な日のゲストに迎えたのは“ツマミになるグッド・ミュージック”を奏でる4人組バンド、YONA YONA WEEKENDERS。ブラックでグルーヴィな香り漂う「R.M.T.T」、ライヴハウスに浜風を吹かせた爽やかなHonda CarsのCMソング「君とdrive」、彼らにしては珍しく泥臭いサウンドの新曲など8曲を披露。艶やかな磯野くん(Vo/Gt)の歌声と洒脱な楽曲に加え、骨太のアンサンブルでフロアを揺らし、しっかり温めていった。

そして、わかりやすいSEなどはなく、唐突にステージに現れたDannie Mayの3人とサポート・ドラマー。観客を沸かせる間もなく、オープナーの「針よ墜とせぬ、暮夜の息」を始め、サプライズ的な幕開けに驚くオーディエンスの反応を見てマサ(Vo/Gt)がニヤリと笑った気がした。ミニマムながら疾走感のあるギターからスタートし、歌謡曲テイストのあるメロディに耳心地のよい日本語詞を乗せた、ノスタルジーと新しさを見事に融合したこの曲で耳を惹きつけ、バンドの始まりの曲「今夜、月のうらがわで」に繋いでいく。この曲の中盤では、流れるようにYONA YONA WEEKENDERSの「誰もいないsea」のサビに突入。誰も置いていくまいと、序盤で一気に会場全体の心をキャッチする懐の深さを見せつける。

“みんな、おかえりなさい!”とマサが大きな声で挨拶し、1年越しのO-nest公演に集まった観客に感謝の気持ちを表明。田中タリラ(Vo/Key)も“今日は俺ら対全員、じゃなくて、俺らがひとりひとりに届けるので、よろしくお願いします”と意気込みを言葉にした。

その田中がキーボードで弾き語るような形で始めた新曲「メロディが浮かばなくても」。メロディが浮かばなくても、酒も愛もあって今生きている、それでいいじゃないといった内容の曲だったが、少し舌っ足らずなタリラのヴォーカルで歌われることにより、尊大にならず、なんともいい意味で胸にすとんと届く。そこから、再びマサがメインを取った挑発的な1曲「この曲が人生最後の僕の代表曲だったら」、Yuno(Cho/Kantoku)がサンプラーで鳴らすマリンバのような温かみのある音も印象的な「バブ28」という中盤。そこでは改めて、高音も低音も、煌めきも荒々しさも縦横無尽に行き来するマサと、ウェットで甘い色気の漂うタリラというふたりのヴォーカリゼーションの対比が生きていることを実感した。さらには、Yunoの盤石なコーラスもそれぞれの歌に寄り添いつつ確実に深みを足していて、また三者三様なパフォーマンスも含めて目が離せない。

そうしてぐんぐんとフロアが惹きつけられていくなか、怪しげでダークなロック・チューン「灰々」や「暴食」で食って掛かるような攻撃的なスタンスを見せたかと思えば、マサがギターを置きハンドマイクに持ち替えた「ユートピア」では、キラキラとしたポップスに吹っ切り、手を振り飛び跳ねるオーディエンスで床が揺れた。あまりの幸福感に曲が終わると思わず“過去一「ユートピア」だったね!”、“びっくりしたね!”と口々に興奮気味に話す場面もありつつ、そこからマサがふいに、地元で尊敬する竹原ピストルのステージで前座をしたときのことを話し始めた。上京目前だったマサのために竹原が楽曲「東京一年生」を歌ってくれて、ボロボロ泣いてしまったという。そこから2年余りを振り返り“2年でこんなに来てくれてありがとうございます。最後に、僕らを結成から支えてくれた人への曲をやります”と「御蘇-Gosu-」へ。バンドのチームからひとりが抜けることになったのを受けてタリラが書いたこのナンバー。“安定のレールに乗っかってしまうな/一矢報いる我が物顔で/西日射すくらいの気楽さで続け/間違っちゃいないみたい”の詞を体現するような、独自のスタイルのバンドとして突き進む、自身の音楽を一心に信じた堂々のステージで魅せ、演奏を終えると3人揃って深々とお辞儀をし、ステージを去っていった。満員の初主催ライヴで、練り上げてきた楽曲たちを一挙に叩きつけ、がっちりと手応えを掴んだであろう彼らの表情は、この先への希望に満ちていた。

終演後、この日披露された新曲「メロディが浮かばなくても」が4月21日にデジタル・リリースされることがアナウンスされた。今年の春に似合う、ふっと力を抜ける前向きな曲を携えて、2021年のDannie Mayはここからさらに多くの人の心を掴んでいくだろう。

【SETLIST】
[YONA YONA WEEKENDERS]
1. 唄が歩く時
2. 誰もいないsea
3. 遊泳
4. 東京ミッドナイトクルージングクラブ
5. R.M.T.T
6. 新曲
7. 君とdrive
8. SUNRISE

[Dannie May]
1. 針よ墜とせぬ、暮夜の息
2. 今夜、月のうらがわで
3. メロディが浮かばなくても
4. この曲が人生最後の僕の代表曲だったら
5. バブ28
6. 灰々
7. 暴食
8. ユートピア
9. 御蘇-Gosu-